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大企業で働いて学んだこと(その4)

更新日:2022年1月29日



【働き方改革】というフレーズが声高に叫ばれている。


具体的な施策は、残業時間の制限や有休取得奨励など「長時間労働の是正」の実施と、業務の統廃合など「業務の見直し」「オフィス環境の整備」「テレワーク導入」などを行う企業が多いだろう。


一方、「クラウドワーカーなど、社外労働者の有効活用」、「AIやRPAの活用」等の人員削減に直結しそうな大幅な業務形態変革の実施率は低いと推測される。

ここでよく考えて欲しい。

現在、政府や経済団体が主導して行っている【働き方改革】は、そのほとんどがトップダウンのアプローチによるものだ。


立場が弱い労働者を守るために法律によって会社の行動に制限を課すことは必要で、会社が社員に対してトップダウンでルールを設けることも、そのルールの内容が実情に合っている限り効果は大きい。


しかしその一方で、トップダウンによるアプローチはいったんルールとして定めてしまうと、個人の事情を無視して問答無用で導入されてしまう。実情に合っていないアリバイ作りにすぎないルールが大半である。

そもそも、個人の「働き方」を政府や会社の経営陣が決めるというのは少し変な感じする。


トップダウンで個人の柔軟な働き方をサポートする施策を打ち出すことは有効とは思うが、本来、自分の働き方を決めるのは自分であって、個人個人が「こんなふうに働きたい」と考えて自らの働き方を変えていくボトムアップによるアプローチが重要なはずだ。


現状の【働き方改革】は、このボトムアップによるアプローチという視点が大きく欠けている。


しかしながら、大企業の従業員は【どこを切っても金太郎飴】的な人材育成体制で、仕事は基本的に【引き受ける】ものと摺りこまれてきた。

したがって【仕事は自分で作り出す】という発想が希薄なので、このボトムアップという視点に至っていない。これも大企業の現状である。

長時間労働の是正が進んでいる一方で、短時間での成果創出や生産性の高い働き方を評価する風土は浸透していない。


「早く帰れ!」と叫ぶだけで抜本的な業務見直しは行われていない状況では、持ち帰り業務が増えるだけで真の意味での【働き方改革】実現は程遠い。


「これをやろう!」という足し算ばかりで、「これは止めよう!」という引き算が行われなければ何も解決しない。引き算の決断はリーダー職が行うものだが、この決断力がないのが今のリーダー職である。

部長や支店長のコミットメント一覧というものを見たが、従業員のサポートをするという感じのものだけで、自分自身の【働き方改革】には全く語っていない。


数多くの【リーダー論の書籍】には【率先垂範】と必ず記載されている。

『まず自らがやらない限り人はついてこない』とも記載されているが、【働き方改革】の具体策の対象は、従業員(所謂平社員)であって、経営陣やリーダーの具体策が全く見えない。


「組織として何を目指し、どのような行動を是とするのか」ということを定義して実現に向けて具体策をコミットメントして、どういう風に働き方改革を推進していくか明確になっていてこそ、ミドルマネジメント層、そして従業員へと浸透してものと思うのだが?

大企業における課・支社といった一番末端の組織長(課長・支社長等の管理職・リーダー職)のパラダイムシフトが行われ、イノベーション思考、起業家精神が醸成しない限り【働き方改革】は、お題目にすぎないだろう。現有組織長の【意識改革】を行うといったことは、残念ながら机上の空論にすぎない。


従来ルーティンで行ってきた業務が、『AIやRPAの活用』で従業員の手から離れて初めて【仕事を自分で作る】という発想で転換できる。

それが大企業でしょう。


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