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大企業で働いて学んだこと(その12)

更新日:2022年1月29日


損害保険会社の主な事業内容は次の4つだ。


1.損害保険業(保険引受・資産の運用) 

2.業務の代理・事務の代行(関連会社のネット保険・生命保険に係る代理代行業務) 

3.確定拠出年金(以下DCと略す)の運営管理業務 

4.自動車損害賠償保障事業委託業務


お分かりとは思うが、損害保険会社の主流業務は、1(含む4)&2である。


非主流の3は、創業期~適格年金廃止(拠出金の受け皿として)までは順調な業績推移ではあったが、マイナス金利時代の長期化によって先行き不透明感漂う事業に変貌していった。


当初は将来が有望視されているエリート社員も所属していたが、主流である生損保業務部門からの戦力外社員が多く所属している部門と言っても過言ではない。

(私が所属していたので間違いない(笑))

DC制度は、国をあげての大事業としてスタートした。加入者にとっては税制優遇を受けられる唯一の貯金制度だが、残念なことに、お役所気質が抜けきれない規制だらけのものだった。


DC運営管理機関は、加入者等の利益のみを考慮して中立的な立場という見解から、金融商品の販売等を行う金融機関がDC運営管理機関となっている場合、当該金融機関の商品の販売等を行う営業職員が運営管理機関業務を兼務することを禁止しされていた。


つまり金融機関の営業社員はお客様にDCの詳細を説明できない。

それでは、一般庶民に普及するはずがない。


そこで個人型DCの加入者範囲拡大に伴い2017年1月から【iDeCo】というネーミングで拡販に踏み切り、2019年7月からは営業職員のDC関与可能部分が拡大される。

私が所属していたDC部門は、企業型DC導入推進がメインであった。

順次個人型DC販売も推進したが、主流の生損保営業社員がDCに関する事は一部分だけしか関与できないことで関心も薄く、縦割組織の壁・法規制の壁・大企業病によって、DC部門は孤立化・『井の中の蛙』化状態に陥っていった。


年金資産が増えるにつれて黒字化していく事業と目されていたが、マイナス金利による逆ザヤ商品(元本確保型商品)中心運用ウエイトが高い(投資マインド低い)加入者構造なので、単年度黒字化も目途が立たない状態と推測される。


当然、経営陣はDC運営管理事業を問題視せざるを得ない状況だろうが、コールセンターや各種システムに多大な投資を行っているので、【不都合な真実】として【責任の所在を不明確にしたままの先送り】として細々と存続していくつもりかもしれない。


ディスクロージャー誌を見ても、DC運営管理事業単体での収支は全く読み取れないが、仮にDC部門が独立した企業としたら、既に倒産していただろう。

私はこんなDC関連部門に10年在籍させてもらった。

この部門での経験は私にとっては、自分の大きな財産となっている。


人事処分後3年間の全く仕事を与えてもらえない【干され状態】から、この部門の異動になり、最初はお世辞にも『やりたい業務内容』とは思わなかったが【仕事に携われる喜び】から、何事にも深く掘り下げて『なぜ?』『根拠は?』を徹底的に調べるようになっていき楽しくなってきた。


そして、前例・マニュアルのない【0から1を生み出す業務】が多かったので、とても勉強になった。

『規約申請業務』は厚生労働省に完璧な申請書類を提出しなければならないので、DC導入企業の人事関連書類(就業規則等)現物を深く読み込み、間違いのない書類に修正しなければならない。


約700社におよぶ申請実務は、私に「誰にも負けない程の人事関連規則コンサルティング能力」を与えてくれた。

東日本大震災によって、仙台事務センターのDC企業型導入企業に対する新入社員用ガイドブック発送機能が崩壊した。全国各地から申込Faxが数多く送られてくるが何の対応もできない。


そこで、当時の部長が決断し、臨時発送体制の構築~運営を私に任してくれた。


会議室とパート女性6名を与えてもらったものの、肝心のガイドブックは見本の数部しかない。


【帳票コピー】⇒【発送フロー体制構築】⇒【宅急便での発送】といった臨時発送業務を、事務センター復旧までの間の1か月間試行錯誤を繰り返し行った。


この経験は【BCMのやり方】を私に教えてくれ【働くことの意義】を再認識させてくれた。

女性だけの関連会社出向は【与えられたルーティン業務しかやったことがない組織へのクリエイティブ業務導入の難しさ】と【女性社会の恐ろしさ】を痛いほど教えてくれた。


この経験は『働き方改革』を推進する私のコンサルティングの基礎なっている。


アフターフォロー業務と名付けられたDC導入済企業への300社の訪問は、【人事コンサルティング能力】【投資教育講師⇒プレゼンテーションの能力向上】を養ってくれ、フリーランスとなった今の【自分の得意技】になった。

エリート社員にとって出世街道からの脱落は、絶望なのかもしれないが、モノは考えようだ。


大企業において役員になれる人なんて、ほんの一握りの人なんだから「出世は無理だな」と感じたら、自分の人生グランドデザインを書き直して『給料もらいながら将来に向けての勉強の期間』と考えたらいい。


私も【干されたこと】によって自棄になり自分を見失いそうになった時期もあったが、【ポジティブシンキング】と【アンガーマネジメント】の重要性と精神力を鍛えあげてくれた非主流部門での多くの体験に感謝している。


非主流部門は不思議な人が多いのでマンウォッチングにも最適(笑)

フリーターである私が


「誰もがやりたくない仕事は【0から1を創造するビジネス】の面白さを教えてくれるし、エリート社員には絶対に経験できないことができるんだから最高だよ。」


と伝えたところで、大企業社畜社員は耳も貸してくれないだろうけど、、、、。


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