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かんぽ生命・日本郵便こそ闇営業(その1)


日本郵便の職員が、高齢者に対してかんぽ生命の商品で不利益な契約を行っているという噂は以前から流れていた。日本郵政はそれを否定してきていたが、ここにきてその問題が一気に噴出した。

先日、かんぽ生命の植平光彦社長と、日本郵便の横山邦男社長が、保険販売を巡る問題で謝罪会見を行った。

植平社長は「多数の顧客に不利益を生じさせたことで信頼を損ねた。深くおわびを申し上げる」というお決まりのセリフを淡々と述べ【他人事】としか感じられない。

横山社長は「商品の募集品質の改善は常に現場の実態を確認しながらやっておりますので、これは常にやっておるところでありますけれども、目標の体系が実態にふさわしいのかどうかという疑問を持ち始めたのは、最近のことです。」という反省のない【すっとこどっこい】発言だ。

現場の職員が実際に不正に手を染めたわけで、不正を行った当事者の責任がまず重いと考えているのだろう。

経営陣は「不正は行ってはダメ」と告知し「適正な契約プロセスがこうであるべき」と明示してきたとの立場を突き通す。そして経営陣は、次の事をおこなう。(これもお決まりの流れ)

1.もう一度社内ルールをはっきりと明示する

2.再発防止に向けてコンプライアンス研修などを実施する

3.被害者に対しては謝罪、救済および補償を行う

4.不正を行った当事者を処分する

そして、今後の対応や第三者委員会設置などの方針の明確化だ。

ちょっと話題はそれるが、わかりやすい例として、今話題の闇営業問題の吉本興業が採った対策が正にこれと同じだ。

芸人全員に研修を受けさせるとともに、不適切な営業に参加した芸人を謹慎処分にし、宮迫氏の契約解除で幕引きを行う。

宮迫氏が会見できなかったのは、会社側からの何らかの圧力があったからと簡単に想像できる。

(日本郵便が「SNS厳禁」の通達も同様の圧力だろう。)

かんぽ生命の大半の営業を委託している日本郵便の職員が起こした不祥事なので、おそらく不正な営業行為をした郵便局員がいちばん重い処分を受けることになるだろう。

ところで、この問題の責任はいったい誰にあるのだろうか?この問題の本質は何だろうか?

現場の営業が9万件のレベルで不正を行ったという場合は、もちろん不正を行った郵便局員当事者も悪いのは当然ではあるが、そのような仕組みを作った側にもっと重い責任があると思われる。

つまり経営者がいちばん悪く、営業ノルマの仕組みを設計した人がその次に悪いと考えるべきだ。

よく不祥事が起きたときに経営陣が「私の知らないところで現場が不正を行った」と弁明するバカ丸出しの経営者がいる。

不祥事によって株価が下落すれば株主に損害を与えるわけで、企業経営者は当然【不正が起こらない仕組み作り】を行っているのが基本原則だ。

保障性商品の販売には、顧客のライフプランをヒアリングして、それぞれのニーズに合った保険を提案するコンサルティング能力が必要だ。

失礼だが、全員の郵便局員に、こうした能力が身についているはずがなく、保険の募集自体が適切だったのか?疑問だ。

そもそも金融庁が掲げた「顧客本位の業務運営」体制であったとは思えない。

【新契約至上主義】【実績至上主義】という一昔前の評価体系や、「回転売買」で営業成績数字を作れる仕組みを温存して、改めることもなく、インセンティブ体系などを設計した責任者の責任は重い。

つまり、本部が責任をとり、本部人員の総入れ替えない限り問題は解決しない。

これがこの事件の本質だ。

ネット検索してみると、銀行・生損保などの金融業界関係者からのコメントが掲載されている。

「生保業界では10年以上前にそういった営業はやめている」

「かんぽ生命の不祥事によって、生保業界の評判を下げるのは困ったことだ」

生損保業界では、過去には日本郵便と同様な手法が行われていたと認めている。

かんぽ生命・日本郵便の本部の責任者の多くが、銀行・生損保会社の出身者と元役人だ。

今回の日本郵政グループの不祥事は、郵便局員の発想・発案ではない。

(その2)

(その3)


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