【TSB-Session】副読本(プライシング)
日本においては、プライシング(値付け)は売り手側の行為で、買い手側には関係ない行為と考えている人が多い。ほとんどのモノが、売り手側が決めた価格のまま取引されている。
途上国の市場では、大半の商品に値札がついていないので、売り手側は、買い手の顔を見て価格を変えている。途上国の土産品は、日本人観光客には50ドル、アメリカ人には20ドル、中国人には10ドルと言って売っているケースも散見される。
50ドルで買った日本人がボラれたわけでなく、強制的に買わされたわけでもない。
観光客が来るたびに、その商品がその観光客にとって“どれほどの価値があるのか?”を見極めながら商売しているだけのことだ。(購入後、相手によって価格が違うということを知っても“後の祭り”。)

鮮魚の値段の多くの場合は、直近の水揚げ量に左右されるので、高いほうが美味しいとは限らない。
むしろ豊漁のほうが、安くて美味いかもしれない。
ところが『高い刺身の方が、質がいいので、美味いはず』と考える傾向にある。
スーパーの閉店間際の値引時間帯でも、500円⇒300円になっている刺身よりも、1000円⇒500円の刺身の方が売れるらしい。
日用品は、1円でも安く買おうとするが、一部の生鮮品は、あえて高いモノを選ぶという消費者感覚が日本にはあるのだろう。
【値札】とともに【相場】というモノがある。【相場】とは、金融市場のことでなく『妥当な価格の範囲』とでも定義しておこう。
不動産を買うときに「だいたい相場はどのくらいなの?」と聞き、「相場より2割も安い物件です。」と言われて購入を決めてしまうことがある。
このケースのように【自分の価値基準を持っていない人】は、売り手側にとっては【御しやすい人】だろう。
往々にして“欲しいから買うのでなく、安いから買う”傾向が強い人なのかもしれない。
ここで、【自分の価値基準を持っていない人】が売り手側の営業パーソンだったら、どんなモノが売り方をしているのだろうか?という疑問が浮かぶ。余計なお世話だが、心配になってくる。(笑)
では、今回の【TSB-Session】は、皆さんにとって『いくらなら手に入れたい』と思えるものだろうか?
『マーケティング手法を習得するワークショップの相場は?』とネット検索しても意味はない。
ここで考えて欲しいのは、このワークショップが市場で受け入れられると皆さんが考える価格だ。
コストから積み上げでの会費設定は、供給側サイドの発想で、誰がやっても同じような価格がでてくる。
【 会場費+料理代+講師フィー+必要経費 = 会費 】という発想では公共料金設定と同じだ。
しかし市場で妥当だと認識される価格は、人それぞれの価値基準によって大きく異なる。
特にイベントや勉強会・セミナー、そしてコンサルティングといったサービスの価格設定は難しい。
【プライシング能力】を磨くことは、ビジネスで必ず役に立つ。
では、この【プライシング能力を磨く簡単な方法は?】というと、
不動産などの大きな買い物をするは、もちろんであるが、日々の食事や洋服・家電購入時、何らかのサービスを受けるたびに、ついている値札をいったん忘れて
『この商品・サービスの自分にとって価値はいくらなのか?』
と考える癖をつけることである。
また、今までモノを売ったことがない人は、メルカリなどのオークションサイトに出品して、売る側の立場でプライシングの練習するのも楽しみながら、能力を磨く方法だ。
【TSB-Session】の当日も、この【プライシング】についてはテーマのひとつになるので、参加するのあたっては、自分なりの価値基準を整理して、マーケット感覚を鍛えてみて欲しい。
そもそも【 プライシング 】とは「価格をつける」という意味でのマーケティングに関わる用語。
マーケティングミックスと呼ばれる「4つのP」
製品(Product)
価格(Price)
場所(Place)
プロモーション(Promotion)
において【 プライシング 】は価格戦略に応じた値段をつけること。
<今ある商品の価格を決める主なプライシング方法(例)>
● コストをもとに考える方法
● ニーズをもとに考える方法
● 競合店舗の価格をもとに考える方法
● お客様の心理をもとに考える方法
● 地域ごとに価格を考える方法
● 複数の商品をあわせて売る方法
● 本体を安く、消耗品を高くする方法 etc