実は買い物の70%は、衝動買いだとも言われている。
ということは、必要なものを買っているのではなく、買うつもりのないものを買っていることになる。
店舗側等がお客様の行動心理をつかんでいて、買ってもらう仕組みを仕掛けているからだ。
<マジカルナンバー7±2の法則>
私たちの作業記憶には限界がある。
人が一度に覚えられる数字や単語の数は『7±2』(5~9個)だと言われている。
テクノロジーが進化したからといって、人間の脳が進化するわけではない。
(例)ミシガン大学のポラック名誉教授の実験
参加者に複数の音を2.5秒ずつ聞いてもらう。
周波数は100ヘルツ~8000ヘルツまでで、音と音の間隔を25秒にした。
すべての音を聞いた直後に「これは何番目の音か?」と質問する。
その結果、4個ぐらいまでは、ほとんど間違えないが、8個以上になると正解率が落ちることがわかった。
この実験で「約5個」というのが限界数だということが証明された。
<ジャムの実験>
スーパーの入口近くにジャムの試食コーナーを設け、それぞれの場合の客の反応を実験した。
いずれもイチゴ、ラズベリー等の定番商品は除く。
試食コーナーと売り場コーナーは別々で、気に入ったジャムは売り場コーナーに行って商品をカゴに入れる。
・24種類のジャムを並べた場合 ⇒ 60%が試食に立ち寄る ⇒ そのうち3%が購入
・6種類のジャムを並べた場合 ⇒ 40%が試食に立ち寄る ⇒ そのうち30%購入
このジャムの実験が証明しているのは
「人間は選択肢が多すぎると、選択することそのものを放棄してしまう」
ということ。
<決断疲れを利用したマーケティング>
「多くの選択肢を継続して与え、決断をたくさん重ねると、精神が疲弊し、できるかぎり考えなくていい方法で決断しようとする」という事件結果がある。
洋服のセールで選んでいる間に疲れて、結局買うのをやめた経験は、この【決断疲れ】だ。
街の居酒屋さんで豊富なメニューが自慢の店もある。
しかし多くの方は「お勧めは?」と聞いているか?
「本日のお勧めメニュー」からオーダーしている。
多くのメニューをメリハリなく、ずらっと並べて提示されると、客は何を選んだらいいのか?わからなくなり、混乱してしまう。
そこで、選択肢を増やすことによって「盛り合わせメニュー」を選ぶように導いている。
盛り合わせメニューは、それ単体では売れ残りそうな食材が使われていることもあるが、お得感や華やかさを演出することもでき、購買意欲をそそり一石二鳥ということになる。
<ファントム・オプション法>
高額な商品をあえておとりとして用意し、それより少し安い商品を買わせる方法。
例えば、400円と700円のローストビーフで、味やサイズが似たり寄ったりであると、当然安い400円が売れる。
ここで利潤の高い700円の方を売りたいと思うならば、さらに高額の1000円を用意する。
客の購買欲は、高い1000円と安い400円の間の700円に集中する。
1000円のものは、もとより多売するつもりがない「おとり」なのである。
<シャルパンティエ効果>
大きな単位を細かい単位で区切って見せて、重い印象を軽くさせる手法。
某コーヒーメーカーがCMで使っている「オフィスでコーヒーが1杯30円」といって、小銭の印象を与えるお得感を出し、缶コーヒーが1缶130円なので「安い」と感じさせるもの。
身近な値段を例にして、全体でかかる金額の高さが、ぼやけて見えるのである。
顧客心理を学ぶ必要はあるが、セールストークは、『共感』『同感』『実感』を感じるスタイリッシュな流れであることは共通している。
「誠意ある接客」の【誠意】とは『私利私欲のない心』と説明されることが多い。
最終目的が商品を売ることであるとしても、その過程で顧客を気持ちよくさせることができるなら、それは誠意ある接客だ。
相手の満足度が高くなった結果、クロージングにまでこぎ着けたら、リピーターになる可能性も高い。
相手を積極的に理解しようという姿勢が感じられれば、相手も好意で返してくれるはず。