自己保身とは、自分の身を守ること。
予期せぬ状況で記者が突然現れ、カメラマンがストロボを焚くと、政治家・芸能人・大企業の社長に関わらず、動揺しない人はいないだろう。とっさのことで、どう答えたらいいか考えがまとまらないという状況も想像できる。
自分が完全な“シロ”だったら堂々と振舞えるだろうが、不祥事・悪事の場合は、何らかの罰を受けるのではないかと考えて「もらっていない」「やっていない」と嘘をついてしまうのだろう。
とりあえず否定して、その場を終わらせようと思う気持ちが“保身の嘘”のスタートだ。
恐らくお笑い芸人の“闇営業&反社会的勢力からの金銭授受”問題において、宮迫氏は、何らかの罰を受けるのではないかと考えて「もらっていない」と嘘をついてしまったのだろうとは思う。
しかしながら、保身の嘘は「相手のため」ではなく「自分のため」が前提で、自分の利益しか考えていない。結果的には、相手をおとしめることになり、時には相手を騙すことになる。
保身の嘘は、いずれ必ずばれるものと決まっていて、ばれたときが大変になる。
評価と信用が一気に落ち、ゼロになるのでなくマイナスになる。
今回のケースで直撃時には、「写真に写っているから事実だね。ただ、5年前の事なので金銭の授受など正確に覚えていない部分が多いので、確認して改めてお答えします。」とか?
直撃時にはとっさに「金銭は受け取っていない」と否定してしまったとしても、翌日とかの早いタイミングにでも「お金はもらいました。彼らが詐欺グループだとは知りませんでした。」「あのときは動揺したから否定してしまった。ごめんなさい」とすぐに訂正しておけば、こんな大騒動にはならなかったはず。
過去にいくつもこうした事例があるのに、なぜ考えが及ばなかったのだろうか?
嘘をついたために次から次に週刊誌の“追撃報道”が出ることになった。視聴率がとれるからか?ワイドショーでは毎日トップニュースとなって、ネット上では「闇営業をしないと生活できないという仕組みが問題」「ルールがある以上“みんなやっている”からといって、自分もやっていいという理屈にはならない」「芋づる式で芸人の闇営業問題が出てきそう」といった各種の意見が飛び交う大騒ぎ状態。
(いつもの事であるが、突然多くの評論家や生活指導員・風紀委員が出没する(笑))
今回は過去の不祥事のたびに繰り返されてきた3大失敗パターン「責任逃れ」「矮小化」「当事者意識の欠落」という要素がすべて含まれていて、“初期消火”が失敗するとさらに大火事になり、鎮火に時間がかかる顕著なケースだろう。
私見ではあるが、プライドを持ってちゃんと一芸で食べている芸人やタレントは、道端に10万円落ちていても絶対に自分のモノにしないで、ちゃんと警察に届けるはずだ。
ビジネスマンであっても同じ。何があっても「俺は“シロ”だ」と言える状況こそが強い。自分の確固たる志があれば「うっかり行っちゃった」とか、「バレなきゃいい」みたいな発想にならないはず。
子供のころに「よく知らない人についていってはダメです。よく知らない人からもらった食べ物を口にしちゃいけませんよ」って教わったはず。
「信号を守りましょう」「正直でいましょう」「ウソはダメです」とかの子どもでも知っているようなルールを中年にもなって守れないのは、ただのバカと言うほかない。
宮迫氏が同じ事務所の先輩として「入江を指導できなかったことを含め、すべての責任は俺にある。俺はどんな処分でも受ける。」とでも言って、後輩の罪をかぶる【男気】でも見せていたら展開は違っていただろう。
宮迫氏やロンブー亮氏の【保身の“嘘”】は、相手をおとしめて、騙すことになった。