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2019.12.18パネルディスカッション レポート

更新日:2020年1月1日



2019年12月18日に3メガ損保会社支店長と女性社員によるパネルディスカッションがムーブ(北九州市立男女共同参画センター)で、保険代理店の経営者・従業員が参加して会場は満席という熱気に満ち溢れた状態で開催された。


一般財団法人福岡県損害保険代理業協会北九州東支部主催で行われたもので、忙しい各社支店長との日程調整やディスカッションテーマの選定など、準備が大変だったであろうと想像できる。聴衆側もディスカッションに参画できるようにスマートフォンを活用した工夫を行っている点も、興味深いイベントだった。今回は、この取組をご紹介する。




デスカッションテーマは次の2つ。

 

① 働き方改革について  ② 地域創生について


大きなテーマであるが、損害保険会社にとっても保険代理店にとっても喫緊の課題である。『企業は人なり』という言葉があるように、どんな企業においても人材育成は最重要課題のひとつだ。


ディスカッションは【 こんな社員はダメだ 】という直接的な切り口からスタート。




損害保険ジャパン日本興亜㈱の高山支店長から各地でのマネジメント経験からのエピソードが披露された。


『人にはそれぞれの能力があるので、弱いところの改善だけでなく、長所を伸ばす“強み”をより活かすように指導しています。

当たり前の話ですが、明るくて、前向きで、感謝の気持ちを忘れず、謙虚で、人の話を聞くという姿勢は、誰もが必要と思います。』


『今まで“当たり前”だったものが当たり前でなくなっている。環境変化についていかないと【ゆでガエル】なってしまう』

損害保険ジャパン日本興亜㈱は【 “保険の先へ、挑む” Innovation for wellbeing 】というスローガンを掲げている。

高山支店長の話は、大変わかりやすく【環境変化・ 技術革新についていかなければ生き残っていけない 】という厳しい現実を言わんとするものだ。


石松課長からの 『人として“嘘をつく”“逃げる”のはダメです。』 という発言には、参加者は大きくうなずいていた。

『無駄な会議はやめました。IT活用は重要でペーパーレス化です。』といった具体的取組の披露があった。

この発言に高山支店長が『私はアナログ世代なので、新しい技術についていけないですが、、、』と自虐ネタで会場の笑いを誘った。



東京海上日動火災保険㈱磯田支店長の前ポストは、地方創生室長で【地方創生】【健康経営】分野でのプロフェッショナル。

同社直資の保険代理店社長の経験もある社内でも一目置かれた存在だ。


『これからは、今まで以上に勉強しないといけません。「どうしたらいいのか?」と自分の考えをもって動かなけれななりません。そして「自分が顧客の立場だったら」ということを常に念頭において欲しいです。』


『部下とのコミュニケーション方法として、3人くらいでちょっと長めのランチ会で話を聞いています。我が社では“マジキラ(真面目に気楽に)”と言っています。部下が喜んでいるか?わかりませんが((笑))』


見るからに優しい雰囲気が伝わってくる吉井主任からは、


『自分に言い聞かせていることですが、約束したことは守る。時間を守る。

代理店さんにお邪魔した時には“元気に挨拶”です。』。

 

【 日本で一番“人”が育つ会社 】スローガンに掲げる東京海上日動イムズが随所に現れたものだった。 

『ビジョン・夢をしっかりもってほしい。“代理店としてこうありたい”という大きな将来像を描いて、人が集まる企業となって欲しい』

 という磯田支店長のメッセージは、力強く熱い代理店に対するメッセージだ。




三井住友海上火災保険㈱岡野支店長は、人柄が滲み出ている語り方で


『“誠実さ”ですね。自分の立場・都合を押し付けるのでなく、相手の考えを聞いた上での対話していかないと上手くいかないと思います。

細かい事は、福井の方から話します(笑)』と。


この、福井課長との連携が絶妙で会場から“大笑い”を誘った。


岡野支店長からの“無茶ブリ”にも抜群の切り替えしで

福井課長は、


『以前、電話で代理店さんと大喧嘩になりました。支社長もビックリしていましたが、それ以降は、とても良好な信頼関係が気づけました。

【本音をぶつけあってこそ、相手を理解できる】って教えてもらいました。』


“親しみやすさ”を感じるが、ご登壇頂いたお二人のカラーが正に“同社カラー”で、社員と代理店との【 対話の重要性 】を特に強調されていたのが印象的だった。


【 立ちどまらない保険】というスローガン実現には、代理店との今まで以上の一体感が必要と訴えているのかもしれない。



主催者側の『聴衆も参画できる方が盛り上がる』という提案から、スマートフォンで自由に意見や感想を投稿できるアプリをプロジェクターで投影し、会場内でリアルタイムで見れるような工夫は興味深かった。


企業のトップ層がパネリストの場合【具体的な実践論】というディスカッションにはならない。参加者は【即実践できる秘策】を求めがちという“ギャップ”を埋める意味でも、無記名投稿故の“本音が聞ける”というメリットはあるが、“心無い”“不謹慎”は投稿もあったのも事実ではある。


『投稿された質問をパネリストに突っ込んで聞き出せ!』という声もあったが、これは主催者側の意図がディスカッション構成に十分反映されていなかったことが原因だ。


ファシリテーターの小生としては大いに反省すべき点だあるとともに、事前準備不足の重要性を再認識させてもらった“良い機会”であった。 


【働き方改革】とは、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジとして、これまで当たり前だった【日本企業の労働環境を大幅に見直す取組】と定義されている。

しかしながら、すでに慣習と化している既存のやり方を変えることは、いずれの企業においても容易ではない。

不思議だが【 誰も反対しない改革は実現しない 】とも言われる。


ザックリ言うと、AIやITで代替可能業務は機械化し、人にしか出来ない【クリエイティブ業務】【自分の時間(学び)】にあてる時間を増やし【生産性向上】を目指すものだと私は考えている。(図参照)            


この【業務ポートフォリオ変革】を実現には【当該業務の当事者】の【業務プロセスの可視化】作業が不可欠だろう。


3メガ損保支店長が訴えているポイントに【 当事者意識の希薄さ 】があった。それぞれのポストでの役割があって組織全体の人が【当事者意識】を持たない限り改革というものは成功しない。もちろん支店長自身も【当事者】だ。


数値目標やルール変更という枠組みは必要だが、『残業するな!早く帰れ!』の掛け声だけでは【業務量は減ってないので持ち帰る残業⇒残業代ない】では、従業員からの不平不満の声につながるだけ。本末転倒状態を招くだけだ。


【地方創生】への取組も同じ傾向にあるが、

①【戦意喪失】問題が多きすぎて初めから諦めている 

②【勇者待望】誰かがやってくれる 

③【成功事例偶像化】一部の成功者が成しえるもの 

といった“あきらめ感”では絶対に成功しない。


この“あきらめ感”は、各部門のリーダーの力量・熱量に左右される。


【トリアージ】という言葉をご存知だろうか?負傷者選別を意味する言葉で、阪神・淡路大震災で知られるようになった。


「選別」を意味するフランス語に由来し、救急需要が同時多発で起きる災害現場では医療資源を効率的に配分し、最大多数の人命を救うことを目指す。


荷札のような【トリアージタッグ】が用いられ、専門医が次々に患者の手首や足首に付ける。負傷者を、①最優先治療=赤、②非緊急治療=黄、③軽処置=緑、④不処置=黒、に振り分ける。


私は【働き方改革】の成功の可否は、リーダー陣が、業務プロセスを把握した上で当事者(担当者)と話し合っての【業務トリアージ】が改革の第一歩と考える。【何をやらないかの選択】はリーダーの専権事項だ。


【“働き方改革”は自社で行うもので他力本願では何も進まない】を今回の参加者(保険代理店)がどこまで感じてくれただろうか?


各損保会社の代理店に対するトリアージは既に行われているはず。


今後のこの損害保険業界に注目していきたい。 


最後に、何よりもパネリストとして登壇頂いた各損保会社の方々に御礼申し上げます。深謝!ありがとうございました。                     

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