昨今のパソコン・スマホの普及によって辞書を引くことはなくなった。画面に表示される候補を見てセレクトすればいいという便利な時代だ。元々漢字を知らない私は、手書きの手紙を書く際に【正しい漢字】をますます書くことができなくなってしまった。そんな事を何となく思いながら書店に立ち寄った昨年のある日に衝撃的なタイトルに遭遇した。それは、【 うんこ漢字ドリル 】である。
いつの時代も、小学生の男子が大好きなもの…それはうんこ。道にうんこが落ちているだけで友人と腹を抱えて笑ったり、「うんこ」と口に出すだけで面白かった。漢字の練習は、基本的に繰り返し学習。しかし、同じ行動をひたすら繰り返すこの勉強は、集中力が徐々に下がりがちです。そんな繰り返し学習に『うんこ』を融合させることで、子どもは笑いながら楽しく勉強することができるはず。面白いだけではなく、「覚えやすい漢字の順序」を採用していて、シュールな例文の数々が頭から離れなくなり、漢字の勉強になる。使う側の立場に立った素晴らしい商品だ。
私が日頃の会話の中で当たり前のように使っていて、本来の意味と違った使い方をしていた言葉をピックアップしてみた。
【 老骨に鞭打つ 】
「老骨に鞭打つ」は、「年をとって衰えた身を励まし努力する」という意味。本人が自分のことを謙遜して言う時に用いる慣用句である。私は若い頃、これを間違って先輩に対して使っていました。
「●●先輩!還暦を迎えられましたが、これからも【老体に鞭打って】頑張ってください。」
【老骨⇒老体】と間違っているし、目上の人に対して失礼極まりない話だ。先輩に対して「老体に鞭打つ」と使ってしまったら『イジメ』いや『虐待』でしょ(笑)
【 確信犯 】
「悪いことだと知りながら行なった犯罪」のような使われ方をすることがあるが、政治的・思想的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる犯罪行為,又はその行為を行う人のこと。
確信犯とは「自分が行う事は正しく、周囲(社会)こそが誤っていると信じている」ことがポイントであり、本人に「実際は悪い事 / ウラがある作戦」などの意識は無い。
【 敷居が高い 】
「高級料亭は【敷居が高い】です。」と言うフレーズをよく耳にする。「高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」という意味で使われることが多くなっているようだ。
しかし【敷居が高い】の本来の意味は、「以前に何か悪いことをして、もう一度そこを訪れることに対して心理的抵抗感があって、行きにくい」ということ。
上司の方が「今日は【敷居が高い】高級店を紹介するから行こう」というフレーズを使われたら、その上司は、過去にその店で『何か悪いことをした』と、白状したことになる(笑)
【 煮詰まる 】
会議で議論していて意見が出なくたって「あ~~煮詰まってきたな。休憩しようか?」といった状況に遭遇した経験は誰もがあるはず。【煮詰まる・煮詰まった】には「行き詰まった」という意味はなく、結論が出る段階が近づいたというのが本来の意味。
【 なしくずし 】
『色々あってこの件はなし崩しになっている。』というフレーズを聞くと、『問題が解決していなさそう』って思う。しかし【なしくずし】にそんな意味はない。『曖昧でなあなあになること』『結局あやふやのままになること』ではなく、『少しずつ片付いていくこと』という意味。きちんと進んでいってるときに使う言葉が【なしくずし】
言葉の本来の正しい意味ではないが、会話している相手も本来の意味がわかっていないのか?会話が成り立ってきた。TVのバラエティー番組では、この間違った意味のまま放送されているケースも多いのも事実である。
若者言葉の一つとして【やばい】という言葉があげられることがよくある。【やばい】は「非常に都合が悪い」「危険な状況」といった意味であるが、従来の意味に比べて意味が広く、否定的なだけではなく肯定的な意味でも使われている。これを分析してみた。
<状況の評価で使う場合>
「資料忘れてきちゃった」「それはやばいね」とか「昨日のLiveやばかったね~。感動したよ」
<「!」がつくケース>
「あの人、超かっこよくない?」「わ、ほんと、やばい!」や「げっ、お金ない。やばい!」
<「やばいほど」として使う>
「今日の会議はやばいくらい眠かった」や「あそこのランチはやばいくらいおいしい」
この若者の【やばい】の使い方の共通点は、仲間内での【共感を高める】ために使っていて、「本当にそう思ってるよ」というメッセージも含んでいると感じる。
インターネットや各種テクノロジーによって我々の生活は急速に変化している。言葉の意味も時代によって変化し、新しい使い方が生まれても不思議ではない。自称【シャベリスト】である私は、言葉の本来の意味を知って、新しく付け加わった意味も把握しておかなければならない。
ただ「申し訳ない」は一語で形容詞なので、「ない」の部分だけを「ございません」と丁寧語に置き換えてしまって「申し訳ございません」と言っても謝罪していないと思うので、このフレーズだけは拘っている。
【 最後までお読み頂いて、申し訳なく存じます。】(ん?この使い方?正しいか?)