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間違いだらけのSNS戦略からの脱却(その2)

更新日:2020年11月14日



1.SNS戦略を考える上で必須項目

SNSは、基本的に新規でのハードウェア・ソフトウェアの調達が不要であるため、SNSを開始することは非常に容易である。アカウントを取得し、写真とテキストを準備したうえで投稿すればすぐにサービス提供することはできる。


しかし、いくらSNSであっても、何のコンセプトもなければ、情報は拡散されないし、誰も情報を受信しようとしない。


SNSも企業活動である以上、しっかりとした戦略を練ったうえで進めていかなければならない。

【 KGIの設定 <Key Goal Indicatorの略で重要目標達成指標の意味>】

『このSNSは何を実現したいのか?』『その実現は何をもってして成功とするのか?』

という基準がKGIになる。


仮にKGIを「当社の認知度を高める」とした場合、そのSNS戦略はまず成功しない。

なぜなら「認知度」が何を基準に向上したとするのかが不明確だからだ。


この場合、「ホームページのページビューを2倍にする」、「LINEの友達数を3倍にする」という具体的な基準を設定することが重要になり、これがKGIとなる。

【 KPIの設定 <Key Performance Indicatorの略で重要業績評価指標の意味>】

「この基準をクリアするとKGIに近づく」という指標がKPIになる。


つまり、KGIを実現するためのマイルストーン(「大きな節目」「経過点」「中間目標点」)がKPIになるため、KPIは複数設定されることが一般的である。

たとえば先ほどのページビューを2倍にするというKGIを達成するためのKPIとしては「Twitterでフォロー数10000人を達成し、Twitterからのサイト流入率を10%向上させる」といった指標がKPIになるだろう。

SNSではフォロワーの数などで定量的に計測することができる。そのメリットを生かし、可能な限り、数値的な目標を設定し、その実現に向けた戦略を立案していくことが重要になる。


もちろん、その実現可能性や明確性は十分に考慮すべきであることは言うまでもないが、SNSの活用も経営戦略の一つであるため、しっかりとしたファクトに基づいた戦略を構築していくことに変わりはない。


2.具体的なSNSについての簡単な考察

【 Twitter 】

情報をいち早く伝えたい場合はTwitterが非常に有効な手段である。

たとえばイベントの開催・セールの告知など今まさに伝えたい情報がある場合は効果的なSNSである。

「今日、12時からセール開始します!」

というようなメッセージはTwitterが最も訴求力が強い。

一方で、詳細な商品やサービス内容を伝えることにはあまり向いていないため、リアルタイム性が求められる時のみTwitterを使うということが導入時点では分かりやすいのかもしれない。

【 Facebook 】

SNSプロモーションを戦略的に使うことを考えた場合、Facebookは欠かせない。

Facebookの特徴は実名による信頼性である。

ターゲットが明確になっており、投稿をシェアされた先の潜在顧客のカテゴリーも把握できる。また、数字管理という点でも使い勝手が良い。


Facebookの指標ではまず、「いいね!」の数になるが、そこからさらに深堀できるリーチ数という指標がある。

リーチ数にはいくつかのタイプがあるが、簡単に言えば「どのような人が投稿を見たか」が分析できる。


たとえば、ある投稿をファンがどのくらい見たのか、ファン以外がどのくらい見たのかを把握することができる機能もあり、またファンがシェアした投稿がどのくらいニュースフィード上で表示されたかも把握することができる。


しかし、投稿数が少ないと認知度が上がらず、なかなかシェアされないため、強みが生かされない。誰が、どのタイミングで何を投稿するかなど、担当者や作業内容を明確にしたうえで取り組むと想定を超えるインパクトを生む可能性がある。


【 LINE 】

LINEの持つ圧倒的な強みはプッシュ通知だ。

メッセージが到着したことを、ある意味、強制的に受信者に知らせることができるため、広く受信者の目に触れさせることができる。


ただし、プッシュ通知のタイミングが悪い、内容が期待と違う、ということになるとブロックされてしまうこともあるため、対象者の「行動パターン」、「生活リズム」などを把握し、最も読まれやすい時間に配信することが必要になる。


KGIやKPIを明確にし、最も効果のあるタイミングで配信すると広くプロモーションすることができる。


【 Instagram 】

Instagramは、ビジュアルに訴えるとインパクトがある商材があるときには非常に有効だ。


興味を引く写真を投稿すると自然に拡散されていくため、広くプロモーションできることも魅力である。


ただ、Instagramはテキストでの説明が少なく、Twitterのような双方向性も弱いため、相当インパクトのある写真でない限り、定期的に拡散させていくのは難しい。そこで、他のツールと連携させることが対応策になる。


たとえば、Facebookと連動させることで文字情報をFacebookで告知し、Instagramに促すというような方法が想定される。


3.NHKの大河ドラマでのSNS活用事例

現在、大河ドラマはFacebook、Twitter、Instagram、LINEでプロモーションされているが、それぞれの使い分けが緻密に計算されている。

【 Facebook 】

Facebookの公式ページはとにかく情報量が多い。

番組の裏話や出演者のインタビュー記事など興味を引き付ける番組のエントランスの役割を果たしている。

またタイミングも秀逸でほとんどが番組の前日か後日に配信しており、当日にはあまり配信をしていない。

これはリアルタイムな発信は他のSNSを使用するという使い分けをしているためであろう。

【 Twitter 】

実際、Twitterは当日の情報発信が多い。

「まもなく!」というキーワードを使用するのはTwitterの強みを熟知している証拠だと考える。

【 Instagram 】

Instagramでは出演者の写真を多く掲載している。

ここでは番組情報をほとんど提供していない。

ただし、出演者の撮影風景やオフの写真を共有することは、番組に興味を持ち、Facebookから流入してきた閲覧者に対して、さらに番組に関心を持たせる効果があることは間違いない。

【 LINE 】

LINEでは、番組の公式アカウントを設置し、視聴者とのコミュニケーションを取っており、双方向性を十分に生かしている。

視聴者が感想や意見を伝えることができ、番組と視聴者の間を取り持つ機能を持たせている。


NHKの事例は、それぞれのSNSの強みをうまく生かし活用しているといえる。

このような活用を行うためには、どのSNSで何を、誰に伝え、どのように番組視聴につなげていくのかのプロセスが明確になっていなければできない。


また、コンテンツや文体についてもドラマ、情報番組、コントなどで使い分けている点もターゲット目線でSNSを運用している証拠だろう。


緻密な視聴者分析を行い、明確なビジョンやKPI、KGIが設定されているのだろうと推測することができる。

ただし、この戦略はそれほど難しいものではなく、実際、NHKのSNSも運用そのものは通常の使い方とほとんど変わらない。


明確な目的を持って、なぜSNSを使っていくのかを考えればどの企業でも採用でき、効果的なデジタルマーケティングができるのである。


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