大企業で働いて学んだこと(その7)

最終更新: 1月2日



【トリアージ】という言葉をご存知だろうか?


負傷者選別を意味する言葉で、阪神・淡路大震災で知られるようになった。「選別」を意味するフランス語に由来し、救急需要が同時多発で起きる災害現場では医療資源を効率的に配分し、最大多数の人命を救うことを目指す。


負傷者を、(1)最優先治療=赤、(2)非緊急治療=黄、(3)軽処置=緑、(4)不処置=黒、に振り分ける。トリアージには荷札のようなトリアージタッグが用いられ、専門医が次々に患者の手首や足首に付けることだ。

本社が考えた机上の空論にすぎない施策が【足し算】となって現場に降りてきて、現場長は、この【足し算】を強要する。


従って現場は、やらなければいけない事が、増え続けていく。しかしながら、優等生軍団は全ての項目に平均点以上を目指すので、この【足し算】の効果や意味を考えることもなく取り組む。


こんな状況下において現場長は「仕事を早く切り上げて帰りましょう!【働き方改革】ですよ!」と叫んでいる。

こんな滑稽なシーンが散見されるというのが大企業の現実である。

『選択と集中』というキーワードがあるが、【選択】できるのはリーダーであり、【引き算】という選択を決断するのもリーダーである。


この【引き算】の選択が行われずに戦略の【足し算】が重なっていくのでは、経営資源を【集中】できるはずはない。


マイケル・ポーターが『戦略の本質とは【何をやらないかの選択】である』と語っているように【引き算】の選択が重要なはずだ。

私は、新しい【足し算】施策の発表があった会議で『【足し算】もいいけど【引き算】はやらないの?【引き算】しないと無理じゃん』と発言したことがある。


会議室内の空気感が一瞬変わったと思ったら『【足し算】は決まったこと』というリーダー補佐社員からの一言で、何事も無かったように会議は次のテーマに移った。


そして、会議出席者の誰一人として何の発言もなく黙り込んで下を向いているだけであった。

その夜TVで、トリアージを経験した医師を取り上げた番組を観た。


『災害現場では、一人でも多くの患者を救うために、クールに次の患者への治療に集中しなければならない。しかしながら、その後、自分がしたことが正しかったのか?と悩み続け、助けられなかった患者の顔はいつまでも忘れられないらしい。心の痛みとなって残り暗い気分にもなるが、患者は医師の顔色を伺うので、常に明るい顔で接していかなければならない。』


という話であった。

その日以来、私は、【トリアージができる人が優秀な経営者で真のリーダーだ】と言うフレーズを使うようになった。


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