危機を危機と認識していないとマニュアルは意味ない

企業活動はさまざまな外的要因(地震・自然災害・パンデミック等)によってストップしてしまう。


その復旧が遅れてしまうと製品やサービスが供給できず、結果的に事業を縮小または倒産に繋がることもある。


不測の事態が発生した場合に、経営者が的確な決断を下すには、組織的な事前準備は不可欠だ。



事業継続という言葉を表現するのに、おそらくは世間で最も一般的に使われている言葉が【BCP:Business Continuity Plan】だろう。


国際的な規格であるISO22301によれば、次のように定義されている。


【BCP:Business Continuity Plan】


事業の業務の中断・阻害に対応し、事業を復旧し、再開し、あらかじめ定められたレベルに回復するように組織を導く文書化された手順


この言葉は文字通り”事業継続計画”であり、有事の際の行動計画を表した文書なので、組織の事業継続能力を支える重要な要素のアウトプット(成果物)の1つにすぎない。


事業継続(Business Continuity)とは、企業が何らかの事故や災害など緊急事態が生じたときに「業務を中断しない」こと、または「中断した場合でも最低限の時間で業務を回復すること」を示している。


この事業継続ための方針や手続きなどの計画【BCP:Business Continuity Plan】を策定し、その計画を円滑に運用すること【BCM:Business Continuity Management】が求められる。


【BCM:Business Continuity Management】


組織への潜在的な脅威、及びそれが顕在化した場合に引き起こされる可能性がある事業活動への影響を特定し、主要なステークホルダの利益、組織の評判、ブランド、及び価値創造の活動を保護する効果的な対応のための能力を備え、組織のレジリエンスを構築するための枠組みを提供する包括的なマネジメントプロセス。


簡単に言うと、BCMは、計画書(BCP)だけではなく、重要業務や重要な経営資源を特定するための分析や文書化、教育、演習などといった活動のことだ。



マニュアルは、事態のオペレーションには有効とは思う。


中央官庁のBCP策定指針が公表されて以来、企業のBCP策定の取組は大幅に進んだのは事実で方向性としては間違っていない。

金融業界においては金融庁の指導もあり100%策定率だ。


私は損害保険会社に30年勤務した。


今振り返ってみて、管理に関する社内マニュアル・DVD・従業員携帯用ツール等は確かに沢山あった。


どのツールも雛形としては、限りなく100点に近いものだろう

しかしながら“魂”というか?“熱い想い”は全く感じられない。


危機管理に関する研修も組織単位(課・支社)で、専門部署が作成したDVDを視聴する程度。


驚くことに、危機管理に関する図上演習は一度もなかった。


残念ながら私が勤務していた損害保険会社においては、【制度もツールも作成することがゴール】【作成した部署のマスターベーション】としか感じなかった。


営業現場では“売上至上主義”で、【危機管理】は“なおざり”と言っていい状態だった。

“目的”“運用プラン”が曖昧なツール・研修ほど役に立たないものはない。


“守らなければいけない”規則・ルールが書いてあるマニュアル類は、読んでもらわないと話にならない。


研修は、そもそもの目的が参加者全員に浸透していて、研修後に日常業務に活かされるものでなければならない。


そして、行動は、常に「何故、今そうするのか」、「適切に行動であったか」という自問が伴っていなければならない。


私は、【BCM】が全くできていない企業にとっては、不測の緊急事態で混乱するだけで、マニュアルが思考停止の原因になってしまう可能性が高いと考えている。


危機を危機と認識していないマニュアル・ツールを策定しても何の意味もない。


事業継続(Business Continuity)への取組は、まず【 経営者の本気度・覚悟 】を醸成することだ。


そして、この【 経営者の本気度 】を組織全体に浸透していかなければならない。


BCPは、BCMやBCMSといった活動を通じて、組織の人員の変化や事業環境の変化とともに、しっかりとしたメンテナンスを行っていかなければならない。内容が古くなり陳腐化していくからだ。


『BCP策定しましょう。お手伝いします!』と営業してくるコンサルタントや損害保険会社社員のアクションを否定する気はないが、【BCPだけでなくBCM、さらにBCMS】そして【企業活動全体を俯瞰した】コンサルティングを行って欲しい。




【BCMS: Business Continuity Management System】


マネジメントシステム全体の中で、事業継続の確立、導入、運用、監視、レビュー、維持及び改善を担う部分。


BCMSは、方針策定や内部監査やマネジメントレビューなどがこれに該当。


ちなみに、BCMS適合性評価制度など第三者認証を受ける場合には、単に先述したBCPやBCMが実施されているだけではだめで、このBCMSという仕組みが整備・運用されていることが必須条件となる。


BCPは、組織の事業継続能力を高めるための成果物の1つ


BCMは、組織の事業継続能力を継続的に維持・改善するためのプロセス


BCMSは、BCMを効果的・効率的・継続的に運用するためのプロセス



クライシスマネジメントの重要性


改めてリーダーシップとは?を考える

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