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クライシスマネジメントは力強い安定した組織作り(その4) <BCP&BCMよりも【図上演習】>

様々な産業界では、事業継続計画(BCP)の策定等の事前の備えを進めている。


ところが、計画の策定にとどまっていて、「絵に描いた餅」となっていて実効性を高めるものには結びついていない。


想定外の事象に対する【経営判断能力向上】には何が必要だろうか?


実効性のあるBCPとは?


【ハード面】

● 被害軽減対策の実施

● 設備機材などの備え


【ソフト面】

● 対応計画の策定

● 役割・ルール・判断基準の策定

は準備されているが、


最重要である【スキル面】が全く手つかずの企業が多いのが実態だ。


危機状況下では、想定外の事ばかり起こるので、【ルールよりも有効性が優先】される。


多くの時間をかけて、コンサルタント等に協力してもらって、多額のコストをかけて作った【ハード面】&【ソフト面】のみの【BCP】が活用できるとは考えにくい。

緊急事態下の限られた短い時間では、的確は”判断”“決断”と“実行力”が必要になる。

迅速な初動指示が極めて重要で、初動の遅れや誤りは致命傷になりかねない。

では、【リーダーシップ能力】【判断力】といった【スキル面】を、どうやって向上させていけばいいだろうか?


【訓練】とは?


① 実際にあることを行って習熟させること

② 一定の目標に到達させるための実践的教育活動

【演習】とは?


① 物事に習熟するために練習を行う事

② 軍隊・艦隊などが実戦の状況を想定して行う訓練

(出典は広辞苑)

【訓練】は、「稽古」

【演習】は「リハーサル」


と整理している文献もある

防災の日(9月1日)には、特に、多くの企業や病院・施設などでは、防災訓練が行われる。

「地震発生→火災発生→避難」を想定した訓練で、訓練内容も例年同様で、参加者も限定されるなど、マンネリ化は否めない。


(私が勤務していた損害保険会社では『緊張感なし』『真剣さなし』『参加することに意義なし』だった。)


この防災訓練は、所定の業務や手順(計画やマニュアルの内容を含む)を正しく、より確実により速く実行できたのか?


備えが妥当かどうかを確認・検証するのが主な目的。

極論ではあるが『防災訓練を行ったというアリバイ作り』にすぎない。

「シナリオに沿った行動訓練」を繰り返し行っても、実際の災害には役に立つはずがない。

災害は訓練で想定していた通りに発生するのではなく、想定しない事態が発生するからだ。

経済産業省は、これらの【スキル面】での課題に対応するためには、平時からの演習の積み重ねが必須。


特に、想定外への対応には、経営レベルの参画を得た形で臨機応変の対応能力を高める【シナリオ非提示型シミュレーション演習】が効果的と言って推奨している。

ところが、インストラクターも不足しているので、現実的には産業界に浸透しているとは言えない。

そこで、私は、企業は、マネジメント能力向上・人材育成の観点から【 図上演習 】を導入するほうが、有効と考えている。

【 図上演習 】とは、対応すべき事態に関し、想定を付与することにより事態を疑似体験しながら、情報の収集、分析、意思決定、伝達等の対応を机上で行う実動を伴わない演習のこと。

危機管理に限らず、さまざまな意思決定や計画の立案の場合や、実際に生じる可能性がありそうな当該企業に合った問題などをテーマにして、【図上演習】を行う。

事前の問題点把握、対応策、あらかじめ準備しておくこと、策定された計画などに漏れ、を確認し、さらには関係者の理解を深めるために実施に移す前にシミュレーションを行うことができる絶好の機会になるはずだ。

(株式会社イージスクライシスマネジメント代表取締役:林 祐氏著書参照)

危機管理下での演習というものは難しいが、【 図上演習 】ならば、多くの組織(プロジェクトを含む)で可能だ。


【 図上演習 】は、経営者やリーダーに限らず、各部門・各層のメンバーも参加できる。


【 図上演習 】によって、自社の“強み”“弱み”も改めて確認できる機会にもなる。


【 図上演習 】での“気づき”は、BCPのブラッシュアップ(アップデート)の機会にもなる。

様々な事態への対応において、指揮を執ることができる人材育成・リーダーシップ能力の向上が図れるのは間違いない。

【クライシスマネジメント】の具体的な強化策として、【 図上演習 】を組織運営に定着させるべきだ。


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