ビジネスの複雑化や競争の激化、労働者不足の厳しい環境下で、企業として成長し続け、成果を上げていくには、『リーダーシップ論』と『フォロワーシップ論』の同時に見なければならない。
特に、緊急事態においては、【リーダーシップ】が【フォロワーシップ】に支えられていたかどうかが、成否を決める。
どんなに優れたリーダーがいたとしても、リーダーだけでは得られる成果に限界がある。
優秀なリーダーと優秀なフォロワーの2つがそろって、初めて高いパフォーマンスを発揮できる。
【フォロワーシップ】は、より強固な組織をつくるために欠かせない。
【フォロワーシップ】とは、
『部下(フォロワー)が自主的な判断や行動によって上司(リーダー)を支え、組織の目的達成のために貢献すること。』
構成要素は次の2つ。
① 組織に対する貢献力
上司の指示に従って目標達成に向けて誠実に行動する力
② リーダーに対する批判力」
上司からの指示に誤りや不足などがないかを自分なりに考え、必要であれば上司に対して問題を指摘する力
日常業務遂行においては、部下の意見を聞き、根回しをしつつ物事を進めるはずだ。
しかし、一旦危機が発生すれば指導官である社長は、危機の状況を分析して、組織が動く為に、リーダーの決心・決意・決断そして覚悟があり、命令・指示をだす。
そして、行動や思考の根拠となるものを明確にしなければならない
そうしなければ、部下は上司のリーダーシップの元、上司を信じ、行動できない。
部下は、その指示・命令に基づいて行動し、目標達成していかなければならない。
社長がいかに優れた経営判断をとったとしても社員がそれに基づき一生懸命に働かなければ、事業の成功は果たせないのと同じで、【危機管理(Crisis Management)】も、全ての過程で【リーダーシップ】と【フォロワーシップ】がバランスよく円滑に行われなければならない。
【危機管理(Crisis Management)】は【経営そのもの】と言える理由だ。
リーダーに求められる要素には『コミュニケーション力』、『問題解決力』、『判断力』、『共感力』、『ストレス耐性』そして『統率力』と様々だ。
『統率力』とは、目標達成に向かって組織やチームのメンバーをひとつにまとめて率いる力で、平時から部下の間で培われていることが望ましいものの、特に緊急時に発揮されなければならない『統率力』が重要だ。
この緊急時の『統率力』は【軍事的リーダーシップ】の考え方で整理すると理解しやすい。
【軍事的リーダーシップ】は『人格』、『知識』、『行動』から構成される。
『人格』:誠実、勇敢、高潔、尊厳、没我、自制心、冷酷さ
『知識』:部隊の知識、装備の知識、状況の知識、問題解決知能、戦術
『行動』:影響を及ぼす、積極的に動く、教化する
指揮官毎の【軍事的リーダーシップ】は次の通り。
『部隊長の統率』
自分の部隊を統率し、敵の攻撃や攪乱にあっても部隊の秩序を維持し、極限的な状態に追い詰められた部下たちの士気を維持・高揚させるもの。
『司令官の統率』
作戦計画を大局的に把握し、作戦部隊全体を各部隊の隊長を介する形で統率し、同時に攻撃や防御において的確な指揮統制を効果的に行うもの。
『攻防部隊に必要な資質』
攻撃部隊:平静沈着、勇敢かつ適応的でありユーモア、積極性、高度な意思疎通能力
防御部隊:社交的、慎重、几帳面であり理解力、融通性、多重的な情報処理能力
を有していることが挙げられる。
【リアルな統率力(リーダーシップ)】と【誇りある服従心(フォロワーシップ)】が組織・チームの団結の強化にも繋がり、目標達成にも大きく寄与することになる。
つまり、【リーダーシップ能力の向上】が、【フォロワーシップの醸成】に結び付く。
画一的な【リーダーシップ(統率力)】も、これに応ずる一律の【フォロワーシップ(服従心)】もあり得ない。
リーダーとその部下たちはその状況に応じて自らそれらを“創造”していかなければならない。
【リーダーシップ】は精神的な才能との関係が強く、訓練や教育でのみ養われるものではないので、結局のところ、『自ら学び考え』、『自ら修練して身に付けていくもの』だというしかない。
【リーダーシップ能力】を向上させるには、自らの体験を増やし、そこで得たものを蓄積していくしかない。
個人の体験というものは限定されたものなので、他人の経験を借りてくる必要もある。
その自分や他人の体験・知識をただ羅列するのではなく、「学ぶ」「思う」「考える」ことで、傾向や論理を自ら作り上げ、変転する状況の先を合理的に正しく洞察するということだろう。
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